下記の、簡単な主旨にありますように、管理人の個人的な要望でのアンケートです。島内でも、個別にいろんな先生方に当たって話を聞いていますが、結構、多様であることが分かってきました。できるだけ多くの方々に興味をもっていただきたい話題なので、ご協力をお願いします。 下記の前提は、「スク」という言葉を使う方にとっては多少厳しいことも書いていますが、ご了承ください。
 なお、アンケート内容で回答しづらい項目があれば、飛ばしていただいても大丈夫です!お答えいただける項目だけでもご協力をお願いします。


 【前提】
 現在、沖縄本島のグスク時代に対して、八重山諸島の「スク時代」「スク遺跡」という呼称を使う方がいらっしゃいます。古くは、伊波寛先生をはじめ、論文等で利用なさっている方もいらっしゃいました。しかしながら、近年、発掘調査が進む中で、ほとんどの遺跡が「集落」であり、有力者の存在が「ない」可能性も出てきています。なお、この名称について、国立歴史民俗博物館の小野正敏先生は、

 沖縄の研究では、石垣に囲まれた遺跡は、みなグスクという言葉で表現されてきました。「グスク」とか「スク」という言葉は本来広い多様な意味をもち、屋敷の区画を指したり、畠の石垣そのものをグスクという地域もありました。それが近年、宮古や八重山を含めて、沖縄本島のグスク=城としての狭義の理解の延長に固定化(※1)される傾向があるように感じます(小野1999「密林に隠された中世八重山の村」『村が語る沖縄の歴史―歴博フォーラム「再発見・八重山の村」の記録―』、新人物往来社

と述べ、安易に沖縄のグスクと対照して「スク」という言葉を使うことに警戒を示しています。あわせて、世界遺産登録の検討委員会では、八重山の遺跡の性格が薄れてしまうという理由から、いわゆる沖縄のグスク群に八重山の遺跡を追加登録することは止めさせよう、という動きもあります(登録するならば、先島の遺跡に特化してほしい、という要望です)。
 なお、私も、自著では「スク遺跡」等の言葉を利用しません。その大きな理由としましては、たとえば、沖縄本島の方が「グスク」と聞いて、石垣遺構を含む、いわゆる固有名詞的な「グスク」というものを想像するのに対し、八重山の一般の方はそれを想像できないのではないか。また、スクという言葉自体が「石垣そのものを指す」ことはないのではないか、と考えたからです。
 ※お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、石垣市史考古ビジュアル版のシリーズでも、使われていません。
 石積み遺構が残る場所(フルスト原遺跡・ビロースク遺跡等)の近くで話を聞いていると、「元村」「村跡」「ブシヌヤー」「カク(後述する宮城氏の『石垣方言辞典』によれば、屋敷内、「囲い」の訛語)とある」をはじめ、「スク」以外の言葉が多く聞こえます(Q3、Q4関係)。
 だとすれば、「スク遺跡」という名称は、はたして一般的か?という疑問が生じてくるわけです。
 ちなみに、宮城信勇先生の『石垣方言辞典』(沖縄タイムス社2003)を参照すれば、スクという言葉には、いわゆる底の意味を持つスクと、今回議論されるべきスクの2つが掲載されています。後者については、

@小高い所。ミナスク、イシスクなど。A古くは集落を意味したようである。複合語として用い、単独の言葉としては使われない。トゥヌスク、ハナスクなどは集落名。

と説明されます。これからしても、では、「スク遺跡とはなにか」という際に、イメージし辛い部分があるかと思います。なお、八重山考古の立場から言うと、「中森期の石積み遺構」となるわけですが、それでは味気ないという指摘がありました。では、なんと呼ぶのが適当か?
 今回のアンケートについては、下記の項目に回答いただきたいと存じますが、質問の裏には、上記のような背景がある、とご理解いただければと思います。
 なお、回答する際には、本などによって知りえた知識の部分ではなく、子どものころより慣れ親しんだ呼称など、自らの体験の中で覚えている事柄の記入にご協力ください。

※1
 なお、現在、沖縄本島以北でいう「グスク」と「スク」は、音も似ていることから、「一緒でいいのではないか」と、安易に利用するかたも増えています(以前は、皆さま独自に概念設定した上で選択利用していたと思われますが、今では、呼び名が違う程度の認識で、まったく「イコール=」として利用する若い研究者が増えているところも、危惧するところです)。積極的に使う方のほとんどが、郡外の人で、一過性の研究者(普段のフィールドは八重山ではない)が多い、という現状もあります。


「スク」に関するアンケート


八重山出身者、または、長期間八重山に住んだことがある方へのアンケートです。ご協力ください。


Q 1.

あなたの出身島、または長期間住んだことがある島をご記入ください。なお、出身者でない方は、たとえば「石垣島に5年居住」等、わかりやすいようにご記入ください。

Q 2.

石垣島のフルスト原遺跡や竹富島のハナック遺跡、波照間島の下田原城跡等、石垣がある遺跡について教えてください。

実際に見たことがある   見たことはないが聞いたことはある   見たことも聞いたこともない  

Q 3.

設問2で「見たことがある」または「聞いたことがある」と答えた方に質問です。それらの遺跡を自ら、または身近な方々はなんと呼んでいましたか。個別の回答がある場合には、たとえば、「○○遺跡のことは、ブシヌヤーと呼んでいた」「○○遺跡の場合には、元村と呼んでいた」等、できるだけ詳しくご記入ください。

Q 4.

「スク遺跡」または「スク時代」と聞いて、どんな遺跡や時代背景かイメージできますか?

イメージできる   イメージできない   なんとなくわかるが、説明できない  

Q 5.

設問4で「イメージできる」と答えた方に質問です。おおよそ、何世紀頃のどんな遺跡だと思いますか?

Q 6.

「スク時代」や「スク遺跡」という名称の利用についてお答えください。

積極的に利用すべき   定義づけがなされれば積極的に使いたい   定義づけがなされれば使ってもいい   分かりにくいので、使わない   他の分かりやすい名称を使ったほうがよい  

Q 7.

最後の質問です。設問6で「他の分かりやすい名称を使ったほうがよい」と答えた方で、提案があればお願いします。特になければ、「特になし」でも構いませんし、「グスク時代」に統一したほうがよいと考える方は、その旨、ご記入ください。


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